遊技産業未来研究所は1月24日、都内台東区のTKP上野駅前ビジネスセンターにて、第91回未来研究会セミナーを開催。2024年度初となる今回は、PRCの中田藤生代表取締役(チャーリー・ロドリゲス・湯谷氏)、エーゼットエンターテインメントの中嶋優代表取締役、遊技産業未来研究所の中野忠文代表取締役らが講演した。
中田代表は、パチンコ業界の店舗数は2023年度で468店舗減、減少率6.8%で推移しているとし、このまま年6.8%で進めば10年後の2034年には3,135店舗まで減少してしまうことを危惧。「繁盛店を真似る、いわゆるベンチマーク的な店舗は生き残ることができず、競争は資金力のある企業が圧倒的に優位である」と述べ、「今後のキーワードは個性・オリジナリティになる。ナンバーワンではなくオンリーワンを目指し、戦略とコンセプトを明確にすること。確実に利益を生み出す店舗運営をしてほしい」と語った。
また、遊技機の入替がうまく集客に結びつかいないことにも触れ、「出玉が強い機種はコントロールしづらく、常に利益優先になってしまう。加えて、無理な入替、機歴購入は資金繰りを圧迫するので出玉という作戦が取れない」と説明。しかし、入替をしないと店の印象が悪くなるおそれがあるため、今後は基本の機械購入費を粗利の最大20%に設定するのが一案とし、メーカー別に新台の実績を重視していくことが大事だとした。
この他のトピックとして、パチンコ機のラッキートリガー(LT)について言及し、内規変更によるパチンコの新たな楽しみ方であること、LT搭載条件などを解説。しかし一方で、上位RUSHを搭載したパチンコ機はすでに登場しており、「新しい」という点では物足りない。そもそも成功体験が少なく、ユーザーにどこまで認知・理解されるかが心配されると述べた。
中嶋代表は「『2024年スタートダッシュ!』-GWまでの時流予測を読み解く-」をテーマに、2024年のGW商戦とそれまでにやるべき準備を考察。増収増益を目指すためには他店舗よりも早く機械を展開することが重要だとし、「増産の話があってからでは遅い。機械代比率は機歴を減らして中古機戦略重視で早期増台するべき」とし、販促費も年齢別ターゲットを明確にして頻度を上げることが大事だと話した。また、2024年もパチスロ中心の営業方針としながらも、パチンコはLTなどの変革には注意はしつつ期待しすぎないことと述べた。
次に2024年1月~3月までの戦略ポイントとして、パチンコでは「Pエヴァ15」から「Pエヴァ16type綾波」に客数移行が見られることから、早期で「Pエヴァ16type綾波」へ運用方針をシフトすること。「海物語」シリーズの育成と訴求。「eリゼロ」の保有台数拡大を挙げた。パチスロでは、「L北斗」「Lヴヴヴ」「Lバジリスク天膳」は残る機種であることから、運用ベースを高めることなどを挙げた。4月は、GWまでにLTの多機種多台数の導入見込みとなっているため、パチンコ市場に傾いているが、GW前にパチスロでビッグタイトルが登場すればパチスロに傾くと予想。そうなれば集客タイミングを早期から設けられるとした。また、相関性を見た導入を図ることも重要だと述べたほか、LT機については、一撃の出玉が特長のハイミドル系と甘デジ系のLT機はまったくの別物として訴求するべきだと語った。
中野代表は「2024年まずやるべき事!」をテーマに講演。2024年、まずはすべての原資となる「遊技人数=ファン数確保」を目指したいとし、「事前準備としてターゲットを定めなければ戦略を立てられない。戦略を立てる際には目標・目的をしっかり定めることが近道となる」と述べた。そのためには現在の自店状況をしっかりと計測するべきであり、客層や客数を記録して平常時のベンチマークに活用することを示した。ポイントとしては、「①改めて集計し絵にすることで強い箇所・弱い箇所がはっきり見える」「②施策実行後の効果検証にも活用できる数値」「③『低貸/通常貸』『昼/夜』『平日/休日』などに分けて計測するのも有効」の3点を挙げ、今のデータが把握できていれば、無駄な戦略を打たずに済むとした。
また、課題に応じて力を入れるべき施策の種類が変わってくると話し、目的に沿わない施策は効果がないばかりか予算の無駄遣いになるため、目的をはっきりさせることが何よりも重要であると語った。最後に「まずは現在の自店における客層マップを作り、原点を確認する。無駄のない施策と効果検証を行い、すべての戦略の根拠にして実行してほしい」と今回のセミナーを締めくくった。
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