【特別寄稿】続々と登場する「ラッキートリガー」機のトレンド考察

ラッキートリガー搭載機が続々と登場している。パチンコ市場の新たな起爆剤として十分に一定の評価は得ている印象だが、ここまで導入されたものについてスペックを考察してみると、同じLT搭載機とはいってもいくつかのジャンル分けがなされることが分かる。

そこで今回は特別寄稿として、LT機のジャンル分けから見る今後のトレンドスペックについて考えてみたい。

1.導入されたLT機

LT機については、日工組内規で「総獲得遊技球数の期待値を3,200個未満にする(初回含む)」という規定があることから、ヘソにいわゆる「カス当たり」を搭載することで実際の大当たり確率を「1/200程度より甘く」設定した方が開発が容易であることは前回の特別寄稿で書いた。

実際に、この原稿の執筆時点(2024年8月末)までに導入されたLT機29機種を見てみると、ほぼ全ての台が1/99~1/200程度の範囲内で実際の大当たり確率が設定されていることが分かる。例外的にジェイビー「eフィーバー機動戦士ガンダムユニコーン2再来-白き一角獣と黒き獅子」のみ実際の大当たり確率が1/349.9に設定されているが、これは「超デカSTART」としてヘソの大きさを2倍にしブン回せるようにするため、あえてスペックを激辛仕様にシフトしたもので、少し特殊な理由がある。

ただし、ホールで現状の島づくりや表示を見てみると、多くのホールでは実際の大当たり確率ではなく「図柄揃い確率」や「実質確率」を表示して運営しており、ファンの体感においても、その図柄揃い確率等の表示には違和感を抱かず遊技しているように見られる。

そこで、まずは「図柄揃い確率」等の実質大当たり確率に沿って、今まで導入されたLT機をジャンル分けしてみたい。

2.LT機のジャンル分け

ここまで導入されたLT機を大きくジャンル分けすると、以下の4タイプに大別することができる。

【特別寄稿】続々と登場する「ラッキートリガー」機のトレンド考察

図柄揃い確率の遊技感から、「甘デジ」「ライトミドル」「ミドル」「実質MAX」の4ジャンルに大きく分類した。「LT到達期待度」については、実際に図柄揃いした後のLT突入への期待度を★5つで表示した。

まずは「甘デジ」タイプだが、全体として甘デジはその打ちやすさから稼働貢献週は元々伸びやすい傾向にある。また甘デジについてさらに分けると、LT突入には期待感が薄いものの通常RUSHだけでも十分に楽しめる「P大工の源さん超韋駄天2極源LighT」や「PAスーパー海物語IN地中海2」、LT突入に一定の期待感はあるが通常RUSHのみで出玉を築くのはイメージがしにくい「P北斗の拳強敵LT」や「P世紀末・天才バカボン~福神SPEC~」の2タイプとなるが、どちらにおいても安定感のある稼働が見込めるイメージがある。

続いては「ライトミドル」タイプ。こちらも同じく、LT突入への期待感が低いがRUSH突入率100%で遊びやすい「Pこの素晴らしい世界に祝福を!199LT」と、LT突入に一定の期待感が持てる「P魔法少女まどか☆マギカ3」や「PバイオハザードRE:2 LTver.」に分けられるが、後者の稼働が非常に良い。理由としては、前述した甘デジタイプと比較した場合、ライトミドル付近の確率帯であれば「通常RUSHにも一定の出玉感を持たせながらLT突入への期待感も一定量併せ持つ」バランスの取れたスペック開発がしやすい点が大きいと考えられる。

次に「ミドル」タイプ。こちらについては直近7月1日からスマパチにおいて「LT到達率」が緩和された新基準LT機である「e花の慶次~傾奇一転」が導入されたものの、この一機種についてのみで言えば、市場から大きく期待されたほどの結果で稼働が推移しているとは言い難い状況だ。市場の声を聞くと「ミドル帯で回らないとLTへの期待感がいくらあってもそう何度も打てない」という意見が多い。一方で変則的なスペックではあるものの「eガンダムユニコーン2」の初動評価が高い点も合わせ、「回せる台」へのチャレンジも含めて今後まだまだ変遷しながら、将来においてはミドルLT市場も成熟していく可能性はある。

最後に「実質MAX」タイプだが、このジャンルについては藤商事の実質1/399.9シリーズの評価が総じて高い。図柄揃い確率が1/400程度と低いものの「とりあえず当てさえすればLT期待度が非常に高い」のが大きな特徴だ。またこのタイプでも変則スペックである「P貞子」が一部で注目されているが、こちらは図柄揃いして右打ちにさえ入れば継続率73%の状態でしかも大当たりの50%がLT、という期待感の高さがウリだが、実際の図柄揃いについては1/1326と異常に重い。その代わり、こちらも「eガンダムユニコーン2」同様、ヘソの大きさが倍でブン回しできるスペックとなっている。

3.今後のLT機のトレンド予測

ここまで導入されたLT機のジャンル分けにおいてスペック考察をしてきたが、稼働状況を鑑みてLT機を現時点で分析してみると「甘デジ全般」「LT突入に期待できるライトミドル」「実質MAXタイプ」の3ジャンルに優位性があると考えられる。また「甘デジ」はミドル機やライトミドル帯で発売されたタイトルがライトバージョンとして後発的に発表される例が多い点も踏まえると、今後のトレンドとして注目すべき新機種は「ライトミドル」と「実質MAX」の2つのタイプと言えるだろう。

特に「ライトミドル」に関しては一時「CRフィーバー戦姫絶唱シンフォギア」や「P義風堂々!!~兼続と慶次~2」などで非常に市場が盛り上がっていた時期もあり、今でも遊技客層の幅は広い。またLT機においては、実際の大当たり確率が1/200である遊技機がメインである点で、LT機においては遊技に違和感がないつくりにしやすく、分かりやすく楽しめる利点もある。最後にミドル~実質MAXのタイプについていえば、やはり「eガンダムユニコーン2」と「P貞子」の現状から、今後「ブン回せる仕様」への移行も含め市場の変化に注視していく必要がありそうだ。

遊技業界も「パーパス」を発表するなど存在意義を示し、遊技客増加に向けて各種の活動準備を進めている最中だ。今後も各社から様々な工夫が凝らされたLT機が登場し、パチンコ市場がさらなる盛り上がりに向けて動いていくことを切に願う。

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■プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。

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