ぱちんこが時短緩和ということとなったが、パチスロは6.0号機から6.1号機へ自主規制が改定された。既に広く知られていた話であるが、正式に決まったのは昨年12月の頭頃のこと。型式試験申請は同月中旬頃から可能となっている。
時短緩和のぱちんこは今年4月1日以降の入替から納品設置可という期間の縛りが内規にあるが、6.1号機パチスロにはそういった制限はない。このため、型式試験に適合さえすればいつでも納品設置可となる。もっとも、現在の型式試験は昨年と状況は似ており、適合率も低く申請予約競争も激化中なので、適合がいつ出るか、それらがいつリリースされるかは不明だ。理論的には3月中に出てきてもおかしくはないが、すべては型式試験次第となる。
もっとも重要なことはやはり当該ゲームペナルティ可ということになって高純増機のベース値が下がるということに尽きるだろう。日電協の説明によれば、高純増機が50ゲーム/千円だったとするとこれが40ゲーム/千円くらいにまでは下がる見込みだという。なお、私としてはこの千円あたりのゲーム数を30ゲーム前半くらいまで下げてくるメーカー(というか型式)が出てくることを強く望んでいる。型式試験に適合するかどうかという高い壁はあるが、各メーカー他の仕様等も工夫しながらやはり少しでもベース値を下げたいという想いは共通しているように思う。
時短緩和というのは、総遊技時間における時短中の占有率が増えることに直結する。最大MLTSの3.8倍までの時短を搭載し規定回転数で常に発動するタイプだと他の性能を削るのも無理があるので時短中占有率は確実に増える。この場合、注意点としては「時短中は払出しが発生しており、その分を出玉率帳尻合わせのために削らなければならない」ということになるだろう。
大当たり性能を削る、あるいは一般遊技中のベース値を削るなどが考えられるが、前者は遊技客の不興を買わないようなバランス設計が求められるし、後者の場合は今それができるならもっと早くやれ、という話でもある(ベース値下限内規は昨年撤廃されている)。私はそれでも規定回転数で発動する時短が搭載されると稼働は上がると見込んでいるので時短緩和機も歓迎ではあるが、大当たり以外の払出しを増やす規制緩和というのがポイントだ。
一方の6.1号機。こちらはベース値の高過ぎる高純増機においてベース値(もちろん一般遊技中)の削減につながるという話である。この点について、おそらくほぼすべてのホール関係者にとっては単純にプラス材料でしかない。
高過ぎるベース値の現状を知っている遊技客がどのように反応するかという点で不安があるかもしれないが、残念ながら現時点で6.0号機は遊技の中心層にあるとはいいづらい。ならば、大当たり関係の抽せん等で高過ぎるベース値になっている高純増機の問題点が解消される分、遊技客の反応は結果的に良くなるという想定を持っている。
他には疑似遊技関係やビデオリールなどの演出関係の緩和もあるが、やはりベース値を下げる方向にあるという点が最も重要視されるべきだと考えている。
これでぱちんこ、パチスロともに改正規則機のレギュレーションが緩和されたわけだ。ちょうど生活安全局長と保安課長の異動前にそれぞれ緩和が実現しており、緩和後に局長、課長が新しくなっている。技術上の規格解釈基準や日工組、日電協の自主規制については保安課長がある程度決裁権を持っていることから、前任の山田氏の保安課長としての最後の仕事が遊技機性能の規制緩和だったことはまあまあ注目すべきことである。
警察庁は、そもそも依存対策と称して射幸性(というか差玉枚数性能)を3分の2に下げるという方針での規則改正を断行した。その意味では、時短緩和も6.1号機も、それぞれ総量や一撃獲得上限について自主規制は同じである。射幸性が拡大しているという判断にはならないエクスキューズがあることから規制緩和には違いないが社会的に問題視されるようなことでもない、という立場であろう。
しかし、改正規則機について、市場が確立されていない現時点で解釈基準なり自主規制改定が出玉性能も含まれる形で容認されるというのは少々珍しいことでもある。今は、警察庁は、その規則改正の是非を問わなければ、自身が断行した改正規則の精神、すなわち旧規則機の完全撤去と改正規則機との入替に注力しなければならない。従来より、警察庁は商売のことは言わない。「もっと売れる改正規則機を作れ」とは行政という立場ではいいづらいわけだ。その代わり「ちゃんと規則の精神を守れ」とか「一気に大量の入替になったとき製造能力は追いつくのか」ということは言える。
今回、時短緩和も6.1号機も、もっと売れるようにするためにどうするか、ということに直結した話であると私は評価する。メーカーがホールに「もっと売れる」ようにするためには、ホールの需要に合ったものを提供するしかない。これが10数年前なら「著名コンテンツ+そのときの最高射幸性」とかで不公正販売ですら簡単だったかもしれないが、今は大手メーカーですら新台の販売台数は長い減少トレンドに陥っているのだ(もちろん各社、単年では例外もあり)。だから、ホールの需要を無視して「売れる」ということはなかなか想定しづらいわけである。
今年、ホール職域はおそらく最も改正規則施行の影響を受ける一年である。経過措置終了の旧規則機を向こう一年弱で総撤去しなければらない。ざっくり見積もっても全国の店舗平均で「20台レベル/一か月」の入替が一年間必要となる計算である。
既に経過措置終了の影響は、昨年末から年始にかけての絆やハーデスでホールはわかっている。しかし、最終的な総撤去台数からするとこれらの型式ですら全然少ないのだ。今年は沖ドキや凱旋も残っているし、何よりも来年には北斗無双である。PS問わず、改正規則機のレギュレーションが緩和されていくトレンドにあることは、このホール職域が向こう一年間で受ける「負の影響」を「軽減する」役割もあるということだ。
規則の趣旨は変わらないのだから3分の2という射幸性はそのまま。その範囲内で少しでも負の影響を小さくして業を続けるホールにより多く売れる、ホールの需要に沿ったものを提供できるように、という流れが昨年もあって、そのいろんな内容について警察庁が最終的に了承したのが現状の時短緩和と6.1号機ということになる。経過措置撤去を大量に控えている現状で「市場が良くなる」ということは言えないが「これから出てくる新台は昨年出てきた新台よりも良くなる」ということは、レギュレーションの面からは言ってもいいだろう。
PSともに、どっちも稼働貢献期間の長い機種がこれからいかほど出てくるか。経過措置完全終了後の2021年以降の市場はまずそこに左右されるように思えてならない。ということで、今はすべてのメーカーが、ホールの需要に沿った機種を適合させるように努力してもらい、ヒット機群をホール側が選べるような業界環境が迎えられると理想だろう。
とまれ、PSともに、ここから先は各メーカーの頑張り次第。注目しておきたい。
■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。
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