【寄稿】今がトレンド変化の絶好のタイミング(WEB版)/POKKA吉田

9月を振り返ると、ぱちんこ新機種主力カテゴリでは電王の一人勝ち(というか、他が軒並み惨敗?)というような状況になったかと思う。電王が好調なことは事実であり、これによってまどマギ、貞子、eユニコーン再来、電王と、毎月のように好調なぱちんこ新機種が主力カテゴリで登場している計算になる。これは近年、全く見られなかった現象だ。

この数ヶ月の間の好調新機種の中にヘソの大きな機種が2機種あることから、いくつかのメーカーが大きなヘソに対する呼称の商標登録をしていることも知られている。個人的には特許や実用新案にはとても関心があれど商標登録には関心ないのだが、多くのメーカーが大きなヘソの新機種を準備しているような状況が垣間見えるという点では意味があるとは思っている。

パチスロは一昨年の7月4日の6.5号機の成功以降、そしてスマスロの登場以降、断続的に成功機種が登場しており全く不安視はしていない。特に決算を公表しているホール法人はじめ、業界関連企業の多くが昨年度の業績が増収増益となっているケースが目立っていたが、その多くはスマスロの好調さ、というのがアナリストらの分析であった。

パチスロは毎月のように成功機種が登場するというわけではないが、好調さを維持できていると考えている。スマスロでもからくりや北斗のような長寿命機種がすでにいくつもあって、さらには山佐系やオリンピア系のように新機種の結果のアベレージがかなり高い(登場した新機種をすべて買った場合の当該機種すべての業績全体が良いという意味)のもあれば、SANKYO系やサミー系のようにアベレージは高いとは言えないかもしれないが、成功機種の業績がとても良い、というものもある。さらにはジャグ系などの定番カテゴリも安定しているし、すべてのメーカーに大成功の可能性があると考えれば自然と全体的に市場感も好感できるようになる。

ぱちんこはその点、この数ヶ月間については近年珍しく好調な新機種が続いている。これは大事にしなければならないだろう。

というのも、明らかにぱちんこ島の抜き方が極端になっているからだ。玉粗利30銭の時代が到来するなんて私は思っていなかった。

DK-SISが毎年のように警鐘を鳴らしていたのは、ざっくり言えば「抜きすぎると客が減る」ということだったと私は解釈している。そして現在、その通りになってしまった。そんな中でLT機という新しいカテゴリが登場し、大きなへその機種も登場して、市場の中で相対的に好調な機種がある、というように「見えている」だけだ。玉粗利益がこの数ヶ月間で低下しているわけではないというのが、多くのホール法人における業績だろう。

私は釘や設定による利益調整は必要だと考えているし、「出せ」なんてことをメッセージとして発することはない。ただ「抜き過ぎるな」ということをずっとメッセージとして発してきて近年その「抜き過ぎのレベルが酷い」ということを実感するのだ。

みなさんの周囲の業界関係者が今もなおぱちんこを楽しく遊技しているだろうか。DK-SIS他いろんな業界のデータなり、店舗や法人のデータなりを日常的に見ている業界関係者にとって「ぱちんこを遊技するのは負け組」くらいのシラケた感覚があるのではないだろうか。少なくとも私はそのように感じている。

抜き過ぎというのは基準は曖昧だが、玉粗利が30銭レベルになったことは私の知る限り過去なかった話だ。少なくとも現在の状況は多くの遊技客にとっての閾値を超えていると私は考えているが、この状況は変わらない。

この状況は「タコが自分の足を喰っている」のに似ているという予感がしている。腹を満たすために自らを食す先に何が待っているか、想像しなくてもわかるだろう。

大きなヘソ(高いスタート回数)や一撃性能(LT、新総量計算など)によって高い玉粗利を糊塗できる客はまだ遊技してくれているが、そうじゃない客は離脱していった。彼らまたは彼女らに戻ってきてもらうことは、ものすごく難易度が高いことかと思う。消えていった者は帰ってこない。

そのことは現場スタッフの方が実感していることだろう。コロナ禍が明けてから、決算を公表しているホール法人の業績は特に昨年度は増収増益となったところが多数だった。「売上」などの指標で見ると回復と思う。が、現場スタッフは一人一人の常連客の顔も見ている。コロナ禍が明けて常連客がみなさん戻ってきた、という現場感を持っている人を私は見たことがない。コロナ禍が明けても戻ってこない層が一定割合いる、というのが当たり前の全国的な現場感であろう。

だからこそ今がぱちんこ市場にとっては大事な時期かもしれない。というのも先程触れたとおり「好調な新機種が毎月のように登場しているから」である。

LT登場前はRe:ゼロseason2と暴凶星とその他(あるいはせめて大海5まで)。鬼がかりと咆哮とユニコーンだけだった時期も長かったわけだが、そういう時期とはくらべものにならないくらいに新機種の好調さが目立っているのが今である。

パチスロの粗利体系に私はさほど不安はないと考えているし、すでに述べたように好調と評価している。だからぱちんこ市場の回復と成長が業界にとって反転攻勢の成長への最低限の条件となると思う。そのぱちんこ市場は、新機種が好調だ。粗利体系の見直しトレンドが形成されるにはベストのタイミングではないだろうか。閾値を超えた抜き幅は自らの首を絞める。今、ぱちんこ新機種の好調さは目立つ。トレンド変換のチャンスは今だろう。

しかし、ホール関係者に本稿のような話をすると「機械の販売方法が、価格が、再販の方法等が」という反論が必ず返ってくる。それは私も理解しているが、それは昨年も一昨年も同じことであった。少なくとも昨年や一昨年において「毎月のように好調な新機種が登場したということはない」のだ。

高コスト体質の改善、とりわけ遊技機の販売価格や販売方法等の問題が背景にあるのはわかるが、それはパチスロにおいても同じはず。「ぱちんこだけ、しかも今年だけ特別に販売方法等に問題が生じた」というのならいざ知らず、そうじゃないのなら少しでも遊技客が離脱する閾値から営業予定粗利益を引き下げる努力はした方が良いと思うのだ。

しかし今、本当に毎月のように好調なぱちんこ新機種が登場している。この状況が続いているときに、なんとか真の意味で市場の回復・成長トレンドに反転してほしい。その願いも込めてこのようなことを書いた次第だ。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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