1月導入の新機種『Pとある魔術の禁書目録2』が、導入早々「パンク騒動」に巻き込まれました。あるYouTuberがSNSにアップしたVパン(V非入賞での権利消失)動画が大バズリ。Vパンそれ自体は珍しいトラブルではありませんが、注目度の高い導入直後のタイミングだったこと、人気演者の便乗もあって一気に拡散。右打ち中の「不親切」な演出が原因だとメーカーの責任を問う声が上がり、炎上気味の注目を集めることになったのです。
発端となったパンクが発生したのは、ST30回転までの即当たりゾーン=リミットブレイクチャンス(LBC)。シームレスな連チャンが楽しめる本機のセールスポイントなのですが、大当たり後の右打ちナビが電チュー開放より遅れて表示される(ように感じる?)ことで、止め打ちをしていた場合、ナビに従って打ち出してもVを逃す不運が発生してしまう……。当該YouTuberは撮影準備のため手を離していて、ナビ表示で慌てて打ち出したが間に合わなかった、という顛末でした。
んー、これ、メーカーが悪いのでしょうか。いや打ちっぱなしでも入賞しないゲージや不具合なら台(メーカー)のせいだと言えますが、今回のケースは不親切とはいえ打ち出しを止めなければ避けられたパンクです。申し訳ないけれど打ち方が悪かったのです。僕が実戦した感想としても、打ちっ放しなら無理も違和感もなく、またパンクに怯えることもなかったし、そもそも速さがウリのLBCで、それも一種二種スペックで、消化中に手を離すなんてありえない! と、不幸なYouTuberさんに追い打ちをかけるメーカー擁護をしてしまいそうにもなります。
しかしそんな正論、業界にとっての当たり前は、一般プレイヤーからすればとてつもない「驕り」でしかありません。おまえらの事情なんか知ったことではない、当たったらちゃんと玉出せや、せっかくの連チャンが消えるとかあり得ない! それがプレイヤー99%の本音でしょう。大当たりが飛んでしまった理不尽と怒りは、達観した気になっている僕ですら抑え難いもの。ましてパチンコは、わからない、わかりたくない、わかろうとしない他責思考のプレイヤーがメイン顧客です。我々の当たり前を物差しに考えてしまうことは、お客様を理解しないプレイヤー軽視そのものでしょう。
手を離す人がいるかもしれない、ナビの出し方が不親切かもしれない……。今回の騒動は、「わからない人」を想定した事前の注意喚起があればこれほど拡大してはいません。避けられない不都合は丁寧に説明せよ、繰り返し注意喚起せよ。自己都合は即刻改めよ。弱者を守る大原則である「かもしれない運転」ならば、事故は起こりませんでした。
ただ、予想外の炎上となったことで、今後リスク開示の動きが進むとプラスに考えることもできます。不都合に蓋をし続けられないのは、芸能界を揺るがす数々の事件を見ても明らかで、情報開示こそが最強の防御策と言える時代を迎えています。なるべく黙っておこうではなく、真っ先に白状しとけ! それが安からぬお金を使わせる側の義務と責任だし、同時に逃げ道として業界を守る術となります。
今回のパンク騒動に対するケアは、メーカーもホールも迅速でした。すぐさま注意喚起が出され、設置店の多くが掲出している。惜しいなぁ、あと3日早ければ……。いやしかし、これきっかけで開示のあり方が変わっていくはず。誰もが理解して新台を楽しむ環境が整う、その一石になると信じたい。むしろ炎上して良かったじゃないか、そんなことも思ってしまうまんぱつですが藤商事さん気を悪くしないでください。
大﨑一万発
パチプロ→『パチンコ必勝ガイド』編集長を経て、現在はフリーのパチンコライター。多数のパチンコメディアに携わるほか、パチンコ関連のアドバイザー、プランナーとしても活動中。
Copyright © 2024 『遊技日本』 All Rights Reserved.