1. お客様が減っているのに、手を打たない業界
間もなく2023年も終わりますが、コロナ明けから急落している稼働状況は続き、特に「パチンコ離れ」は、ほぼ対策の打ち手がないほど深刻な状況です。ここまでユーザーニーズとギャップがあるのは、単純に「ギャンブル化」が進んだという要因だけでは済まないと思います。超高齢化社会到来、生産者年齢の減少、景況感悪化、社会の節約志向の進展等、マクロ的にも余暇産業が縮小していく条件が整いつつあり、そういった状況に関わらず、ほとんど手を打たずに「機械入替」に終始し、お客様のニーズではなく「企業都合」の予算編成・利益計画で進めるために、離反していると考えます。
つまり「ギャンブル以外に価値を感じないユーザー」しか残らず、ホールもそのお客様が喜ぶ「射幸の高い、波の荒い新機種」を用意し、SNSやイベント演者等を採用して「出玉をアピールするような」ギリギリの広告宣伝を仕掛け、他店からユーザーを奪取する、そんな戦法を取るホールが非常に増えました。
しかし、一方で、それ以外の経験ユーザー・一般ユーザーは「もう、金銭的についていけない」と参加を止めて離反し、ホールは大衆娯楽場から「身近なギャンブル場・鉄火場」へと変わりつつあります。しかも、この景況感の低迷もあって今後可処分所得が増えていく見込みもなく、新たにお客様が増える要素が、ほぼなくなっています。
よって業界全体で「客数を増やすための施策」もほぼなく、いかに「客単価を上げるか?」に重点が置かれ、新機種の開発や交換率変更なども行われているので、このままでは市場は成長することはなく、どんどん縮小する予想も当然のことでしょう。
個人的に一番問題と感じているのは、多くの業界関係者が近未来の業界に同様の危機感を持ちながら「お客様を増やしていく」施策を打たずに様子見している、という点です。リスクを取ってまで新しいことにチャレンジできない、という背景も理解できますが、アクションを起こさずに「様子見」を続けても市場縮小は止まりません。どこまでお客様の要望・ニーズに応えることが出来るか?が鍵になると思います。
2. 異常なパチンコの「玉粗利」について
既に4円パチンコの玉単価は2,0円を超えるのが「常態化」しており、非常に遊びづらい環境にあるのは周知の事実です。また、玉粗利はスロットとほぼ変わらない「0.4円」程度で機械を運用しているホールも多く、スロットを「薄利運用・稼働重視」で競争し、それをパチンコの利益でカバー、という構図になっているようです。
商売とはいえ、あまりにバランスが悪く、このままでは予想よりも早くパチンコユーザーは離反し、ビジネス自体が崩壊する日も近いかもしれません。
こういった運用実績を見て、それでも「異常」と感じず「普通」と思い、そのままで機種運用する店舗を見ても分かるのですが、あまりに「業界都合」「企業都合」なので、ある日突然、お客様が離れてもおかしくない状態になっている、と思うのです。それをもっと自覚すべきです。
「稼働減に困ったら、新台入替」「入替費用は稼働減の前に早期回収」という理由から、お客様への還元が今後もますます悪くなることで、状況はさらに悪化する恐れもあり、ここはすぐに対策を打つべきではないかと考えます。
3. 全ては「お客様のために」
ホールの遊技機入替にせよ、コストダウンにせよ、その全ては「業界都合」「自社都合」でなく「お客様のために」行う施策であるべきです。スロットはスマスロが登場し、市場縮小が「下げ止まった」実績がありますが、パチンコは残念ながら「ユーザー離反」が止まらず、営業成績も実績も出ていません。
つまり、業界やホールが打つ施策が「成功だったか?失敗だったか?」という傾向は既に出ており、何もしないというのは業界全体の怠慢ではないか?と思うわけです。例えば、1時間で2万円近く負ける可能性がある機種の設置や、甘デジとあっても「玉単価2.0円を超える波の荒い機種」ですとか、機種構成一つ取り上げても、一体お店は「どんなユーザーに、どんな価値を提供しているのか?」と、首をひねりたくなる時もあります。
シンプルに「お客様のために、今、何をしなければならないか?」と考えれば、答えはもう出ているはずで、是非、喜んでお客様が再来店して頂けるように満足度を高める、そのためにはどんな機種構成で、どんな運用方法で、どんな遊技環境を準備すべきか?等々、思考を前進させて、どんどん手を打って欲しいと思います。大きく行動を変えるときです。
■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!
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