【コラム】ゼロコロナ政策が続くマカオ カジノ業界の置かれた状況はいかに?(WEB版)/勝部悠人

中国本土に倣ってゼロコロナ政策を堅持するマカオ。依然として水際措置を含む厳格な防疫対策が講じられていることからインバウンド旅客数の低迷が続き、カジノ売上についても同様となっている。

新型コロナの影響が生じた2020年以降のマカオのカジノ売上(粗収益、Gross Gaming Revenue=GGR)の推移は、2020年が前年比79.3%減の604.41億パタカ(約1兆1018億円)、2021年にはやや持ち直して43.7%増の868.63億パタカ(約1兆5834億円)、2022年(1~9月累計)は再び下落に転じて前年同期比53.1%減の318.19億パタカ(約5800億円)といった状況。コロナ前2019年と比較して実に1~2割程度にとどまる。

2021年に持ち直した要因は、中国本土との間で隔離検疫免除での相互往来が再開したことによるが、中国本土側で一定の制限をかけていたためインバウンド旅客数の回復ペースは緩やかなもので、2022年に入って以降は上海での長期にわたるロックダウンに象徴されるように、オミクロン変異株による再流行が各地で出現したことに伴う水際措置の調整が相次ぎ、インバウンド旅客の客足にも大きな影響が生じた。

すでにウィズコロナ政策へ転換したラスベガスやシンガポールなどのカジノ市場は好調で、かつて興隆を誇ったマカオは大きく後退を余儀なくされたが、マカオのカジノ業界はやっていけるものなのか、気になるところだ。マカオ政府統計調査局が毎年恒例のゲーミング業に関する調査を実施しており、このほど2021年度の調査結果が公表された。業界の置かれた状況を知る手がかりとなるため、皆様と情報共有させていただきたい。なお、調査は主にゲーミング事業に関する統計データを収集したもので、調査対象企業が運営するホテル及びリテール事業に関するものは含まれない。

2021年のマカオのゲーミング事業者数は前年と同じく9社だった。マカオにはカジノ以外にも、競馬、スポーツくじ、ロトなどのギャンブルが存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。9社のうち6社がカジノ事業者だが、昨年のマカオの全ゲーミング売上に占めるカジノの割合は99.2%(例年同程度)で、いかに紹介する数字は、ほぼカジノ事業者に関するものとみていいだろう。

2021年は前年からインバウンド旅客数が増加に転じ、ツーリズムアクティビティが一部再開したこともあり、業界の年間総収入は前年比42.0%増の908.1億パタカ(約1兆6553億円)となり、3年ぶりに対前年プラスを記録。内訳については、ゲーミング売上が45.1%増の875.4億パタカ(約1兆5957億円)、受取利息は1.7%減の26.1億パタカ(約476億円)。

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