●ぱちんこ開発者の独り言67
Winkの「淋しい熱帯魚」や、やしきたかじんの「東京」など数々のヒット作を作詞した及川眠子氏は、様々なテレビや雑誌などのメディアで「パチンコの印税は凄い」と発言されているのを知っている方もいると思う。
及川眠子氏は、新世紀エヴァンゲリオンの主題歌、「残酷な天使のテーゼ」「魂のルフラン」の作詞家としても知られており、及川氏曰く、カラオケの印税よりもパチンコの印税の方が稼げたとテレビで発言しているところを私自身も何度か拝見したことがある。
声優もテレビなどのメディアにて、「パチンコの仕事は儲かる」と発言することも多く、ぱちんこ、パチスロ機に係る多くの他業種は、ぱちんこ、パチスロ業界との仕事は儲かるという印象を多く持たれているが、これは半分正解で半分が間違っている。
ぱちんこ、パチスロだけが不当に高い値段設定というわけではなく、長年継続契約をしている所謂お得意様ではなく、機種開発時におけるスポット契約の単発での仕事発注になるため、継続的な契約とは違い、どうしても金額的に高額になる部分は否めない。他方で、長い歴史の中、ぱちんこ業界の世間に対するイメージの印象から価格を吊り上げられていることも否定はできない。
当然、タイアップする側は、価格が不満であれば契約しなくても良い、というスタンスであることから、多少の金銭交渉は行うが、慣例的に他業界に比べ高値で契約してきたのは間違いなく事実であろう。
著作権保護の必要性や、その分配金を少しでも多くすることを目的としたジャスラックにおいて、遊技機販売台数減少における著作権収入が減ることは一大事である。「新世紀エヴァンゲリオン」のヒット以降、遊技機に実装される楽曲は右肩上がりに増えていったが、ここ数年、楽曲数は変わらずとも、右肩下がりに遊技機の販売台数は減少している。
その結果、トータル的な収入は減少していると考えられるわけで、ジャスラック側としては収入増及び、更なる著作権保護を目的とした動きをとるのは必然とも言える流れともいえる。
時を同じくして、RTC機能を使用し、一定時間になると特定の楽曲が流れるという観点から、「上映権・演奏権」に該当するのではないか、という議論が巻き起こった。その結果、遊技機に実装されている楽曲も上映権に該当するという解釈を元に、ホール団体である全日遊連側との交渉に入ったとも言われている。
ただしジャスラック側は、2017年6月に音楽教室から著作権使用料を徴収する内容の使用規定を文化庁に提出するなど、ぱちんこ業界以外の業界への動きも活発化しているため、決して我々の業界だけを狙い撃ちにしているわけではない。
一方で遊技機メーカー側も手をこまねいているわけではなく、ぱちんこオリジナル楽曲の制作数を増やし、そのオリジナル楽曲の楽曲管理が必要な場合は、ジャスラックではなく、別の管理会社(Nextone等)へ移管する動きも徐々に出てきているのである。
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。
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