1. 次々とネガティブなニュースが出てくる、パチンコ業界
「2024年、出生率は約69万人。初の70万人を下回る」「一人あたりGDPは世界22位まで下落」等、ここ最近、残念ながらネガティブなニュースが先行しています。日産・ホンダの経営統合ニュースもそうですが、企業経営を取り巻く環境は今後一気に、ダイナミックに変化していく時期に差し掛かっていくと予測します。パチンコ業界も、解釈基準緩和機の登場による「市場拡大」が期待されますが「さらなる高射幸機の登場」で、ファン拡大の起爆剤になることはまずあり得ず、逆にもっと市場縮小していく方が確度は高いと思われます。この業界の「高射幸機の提供」により、ユーザーの「ギャンブル依存」をさらに強くし、来店動機・遊技動機を高めて再来店を促すといったビジネスモデルは、今後、少子高齢化・景気低迷期において「逆向した流れ」と言わざるを得ません。しかも、この流れを「能動的に」止めることはできませんし、もっとギャンブラー向けの、縮小した「マニア向け産業」へとパチンコ業界は変容しつつあります。
今、ホール運営企業はまさに「過去、例を見ない存亡の危機」と言っても過言ではない、のではないでしょうか。
2. 他の産業から「倒産・閉店」事例を学ぶ
最近、競馬人気で最も支持の高い年齢層は「30代女性」という結果が出ているそうで、公営ギャンブルなのに以前より「忌避感」は大分薄まっている、という評価があるようです。また、麻雀も「介護・ビジネス教材・小学生教材」等で活用されており、ギャンブルとは一線を画す、クリーンなイメージを持たれるようになっています。公営ギャンブル業である競馬や、同じ「風適法」管理下のビジネスである麻雀が「ギャンブルユーザーのみでなく、より多くのファン創出」に向け、多くの力を振り向けている中、パチンコ・スロットだけが「一人負け状態」という印象は拭いきれません。
また、昨今、飲食業の倒産・閉店が増えていますが、その最大の原因は「お客様がリピートしない」ことによる、売上不振と言われています。基本的に「客数増か？客単価増か？」で売上を伸ばす策を採用するわけですが、この景況感の中での「値上げ策」はユーザーから見ると大きな壁になっていることは間違いなく、金銭的負担の大きさはネックです。
ではパチンコ・スロットは？と考えると、物品のように「値札」がついているわけではなく、消費行動に重要な判断材料となる「価格情報」がありません。景気の良い時代は、価格情報のない方がメリットは大きかった面もありましたが、今は「ネガティブ要因」しかなく、社会からの興味関心事も次第に薄れ顧客を増やせない、という課題を抱えている、と考えます。
今後、どうやってお店に再来店してもらえるか、遊技機を何度も打ってもらえるようになるかという「リピートしてもらえるか、どうか？」という視点に重きを置き、戦略を作り上げていく必要があると思います。
3. 「リピート客を増やす」ためには、人気機種確保は重要課題
パチンコ店を「小売業」と見た場合、どれだけ多くの「品揃え」があるか、という視点に加え、どれだけ「売れ筋商品・人気商品」を質・量、確保できるかが、集客の鍵になります。パチンコ店では「遊技機メーカーの生産台数」において制約があるため、常に「希望機種を、希望する時期に、希望する台数だけ」購入することが難しく、これだけ景況感が低迷している状況下では、連動して利益を捻出していくことがさらに難しくなっています。つまり、今後も人気機種をどれだけ「適切な時期に、適正台数」用意することができるか？が今後の課題になります。大手メーカーとの取引履歴や関係性もありますが、高額でも中古市場から確実に人気機種を手当てしていく、と大きく方向転換した法人もあります。「機種の購買方針」はそれぞれですが「品揃え」以上に、もっと「売れ筋商品・人気商品の確保」が優先されていくのではないでしょうか。
4. 改めて感じる、戦略の重要性
パチンコ企業のみならず全ての企業に共通しているのは、結局「どうなりたいのか？どうありたいのか？」といった目標次第、ということを改めて痛感しています。ホール運営企業も、現在の景況感や人気機種購入の困難さ、ビジネスモデルの特異性に苦戦していますが、目指すべき目標がない限りその方法も「お金のかけ方（投資）」が異なります。「どんなお客様に、どんな方法で、どんな価値を提供するのか」をもう一度、再考してほしいと思います。
■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ！」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず！</span
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