【寄稿】激動の一か月/POKKA吉田

5月はいろんなことがあった月となった。ホール営業面でいえば、連休中に最大で90%台後半までいった休業率だったが続々と営業再開となっていく時期だった。緊急事態宣言は連休明けすぐには解除されず5月末まで延長されたが、徐々に各地で解除され、首都圏と北海道も最後に解除された。

営業再開となった経緯で特異だったのは東京都だろう。小池百合子都知事は東京都が宣言解除となってもぱちんこ店に対する休業要請をひっこめず、ステップ3というかなり後になる休業要請解除のカテゴリに指定した。ぱちんこ店からクラスタが発生したという事実は確認されていないにもかかわらず、クラスタが発生した他の業種がステップ3に指定されるという、業界視点ではなくともかなり問題のある要請を続けたことになる。

東京都遊協はこの見込みが宣言解除直前の5月25日時点で判明していたこともあって、執行部が驚きの決定を下す。すなわち「休業要請への協力をこれ以上組合員ホールに呼びかけない」というものだった。同時に執行部が阿部理事長以下総辞職するという事態になった。都遊協は東京都から認可されている中小企業協同組合である。認可元のトップの要請に事実上反旗を翻したのだから、けじめということであろう。

私は都遊協の決定を全面的に支持したい。東京都に理があるとすれば「クラスタ化している事実が確認されていないぱちんこ店をステップ3に指定した理由」「都遊協が5月にたびたび東京都に明示していた感染対策を実施してもステップ3に指定した理由(都遊協が示した感染対策が対策として実効性がないという理由)」「客がマスクを着用し続けることができない飲食店が営業可能な状況で、客がマスクを着用し続けることができるぱちんこ店が飲食店よりもステップが重い理由」を「きちんと説明した場合」のみであろう。実際は満足に説明できるはずもない。隣県の神奈川、千葉、埼玉は休業要請を解除したがこの3県と東京都と、ぱちんこ店の感染リスクに違いがあるエビデンスなんてあろうはずもない。

東京都はTUCの集荷場が止まっていたことから、そのまま都下の(TUC賞品を提供する)ホールが営業した場合、違法あるいは条例違反の可能性もあるということを示して都遊協は休業要請に応じるように組合員ホールに呼びかけていた。都遊協としては東京都に対して出来る限りの筋は通したと思う。また、既に集荷場も再開したため違法あるいは条例違反の恐れもない。

かくして東京都だけぱちんこ店に対する休業要請が継続しているが業界が相手にしないということになり、全国のホール営業は再開した。ここから先は営業再開後の稼働低下にどのように対応するか、という通常の業務だがとても重要な問題が残っていくことになる。

Copyright © 2020 『遊技日本』 All Rights Reserved.