1. 止まらない「スマート遊技機」への移行
日本社会の今後の景況感を予想しても、世界情勢を鑑みて、今よりさらに物価高は進展、インフレが加速するのは確実と言われています。また円安・原材料高の影響で昨年のエンゲル係数も約28.1%まで上昇、節約志向が継続する社会はパチンコ業界にも、引き続き大きな影響を及ぼす数値となりそうです。
一方、遊技機メーカーやホール運営企業の中には、既に別な事業を模索し「リスクヘッジ」に動く流れが加速しています。とりわけ、不動産や株式投資等に目を向け、これからのインフレ社会への対応を急いでいるようにも見えます。経営的観点から見れば、資源である内部留保を「もっと儲かる投資先」にポートフォリオを変えた、と言えるのではないでしょうか。
スロットはBT(ボーナストリガー)機、パチンコは解釈基準緩和機「LT3.0プラス」の市場投入により、さらなる活性化を狙っていますが、現実はスマート遊技機普及に向けたインフラ整備(=ユニット購入・投資)が中々進まない現実もあります。スロットは、普及率50%を目の前にして、数ヶ月足踏み状態ですし、スマパチに至ってはようやく10%を超えた程度です。来期以降「もう、スロット・パチンコ開発は全てスマートに」と、切り替えるメーカーも出てきました。つまりそれは「スマート遊技機のインフラを整えることができないホールは、これから新台設置ができない」ことになるのを意味し、さらに大きな「ホール間での集客格差」がつくのは明白です。
残念ながら「資金力のない」ホール企業が、一気に淘汰される市場になるでしょうし、しかも設備投資を行った後、パチンコ事業が「すぐに投資回収できるだけの成長事業分野」ではありません。そういった背景から、多くのホールが「事業継続の有無」という、とても重大な決断まで追い込まれている、と言えます。
2. 始めの一歩は「単月黒字化」から
日本の企業約6割が「赤字企業」というデータがあるように、ホール運営企業も赤字が継続している企業が多い、と想像できます。その赤字の理由が「規則改正」「コロナ対応」「改刷問題」「スマート化への投資」等、多くの運転資金・設備投資費用を投下してきたこと、と予想しますが、コロナ以降、最も大事な「お客様の減少=売上・利益の急減」は止めることができず、いわゆる「不況型赤字企業」となっているケースが多いようです。
もちろん課題は他にも多数散見されますが、まずは緊急性が高い課題はキャッシュ・フローの改善です。それは昔のように現金商売であるパチンコ店でも中々改善されない原因は「事業継続のため、長期間継続し設備投資を繰り返す」からです。以前は「収益性でカバー」できていたわけですが、今は極端にお客様が減少しているので「身の丈に合わせた経営・運営」に変更すべきです。キャッシュ・アウトの主なものは「機械入替費用・人件費・家賃などの固定費」負担です。機械購入費や固定費は中々下げることが難しいのですが、優先順位をつけて「赤字を止める」手を打たないと、この先もずっとキャッシュ・フローは改善されませんし、黒字にならないと思います。
3. 難しい「決断・判断」を乗り切るには、明確な理念・戦略
今後は、前述した通り「経営判断の難しい」案件が増え、とりわけ事業継続の有無に至るまで重大な決定を下すような局面が到来するかも知れません。その際、もっとも大事になるのが「理念・戦略」です。企業や個人の目標・取り組む課題・評価という視点はこの先も変わることはなく、不変なものです。
その点を考慮してパチンコを一つの事業として見れば、事業継続の判断基準は「赤字が続く」ことです。なので、前述通り、何としても黒字化に向けてチャレンジしてもらいたいですし、投資をするなら最も効果的な投資を目指して検討に検討を重ねて欲しいと思います。
4. 今後、急激に収益回復する策はない、まず基本から
パチンコ業界は「娯楽からギャンブル」に転換した結果、金銭遊技を求める「依存型ヘビーユーザー」が市場の中心となり、同時に多くの離反ユーザーを生みました。これは業界自らが決めた道筋ですから、今後このマーケットの反応をどのように受け止め、次の手を打つのか?は、業界に属する企業・個人次第、というわけです。
これからどんな選択が正しくて、間違っているか?は定かではありませんが、どんな時代でも「お客様のために」事業を行う基本に変わりはありません。地味ですが、もう一度、自店のお客様のニーズを掴み、対応して欲しいと思います。
■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!
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