今年3月に導入が開始され、7月よりe機において到達率条件が緩和された「ラッキートリガー搭載機」が、一定の評価を得ておおむね順調に推移している。スマスロ導入から期待感がパチスロに大きく偏っていた現状から、スマート機市場においてもパチンコの新たな起爆剤として十分に機能している印象で、遅ればせながらスマパチの追加導入を検討するホールも増え始めた。
そこで今回は特別寄稿として、LT機の今後のトレンド動向について考察してみたい。
1.導入されたLT機の実績ジャンルは?
過去に導入されたLT機の中で秀でた実績の出ている機種を見てみると、ジャンル分けで言えば大きくは3つある。一つはサミー製「P北斗の拳 強敵LT」に代表される「甘デジタイプ」、次に京楽産業.製「P魔法少女まどか☆マギカ3」に代表される「ライトミドルタイプ」、そして最後に藤商事製「P緋弾のアリア~緋緋神降臨~ラッキートリガーVer.」に代表される「実質MAXタイプ」だ。またミドルタイプでは京楽産業.製「e仮面ライダー電王」を筆頭にサミー製「e北斗の拳10」などのスマパチが貢献稼働を続けているものの、まだ確定的な実績が出ている状況ではない。
そんな中で、来年2月に導入が予定されている2機種のスペックが明らかとなり話題を呼んでいる。一つはサミー製「e蒼天の拳」、もう一つは大一商会製「e閃乱カグラ」だ。
この2機種には共通点が多いが、一言で言えば「旧MAXタイプの再来」というスペック面だ。ともに初当たりの図柄揃い確率は約1/399でありながら、「RUSH突入=LT」となる点、そしてLT中は「ALL 2,400個 × 約80%継続」となる点も同じだ。
2.旧MAXタイプとの比較
それでは、今回発表されたスマパチLT機の性能は、旧MAXタイプと比較するとどうか。旧MAXタイプとして、セグ機ながらスペック面で高稼働を維持したイメージが強いタイヨーエレック製「CRビッグドリーム~神撃 399Ver.」と比較してみたい。
結論からいえば、出玉性能の高さやスピード感で大ヒットした印象が強い「CRビッグドリーム」よりも、スマパチLT機での「実質MAXタイプ」の方が出玉性能は大きく上回っていることがわかる。「CRビッグドリーム」では約7,000個だったRUSH期待出玉が、この2機種に関しては「RUSH=LT」としたことで約9,600個と内規ギリギリまで引き上げることに成功した。
もちろんその分、RUSH(LT)突入率は低めとなっているため決して「甘い」わけではない。「CRビッグドリーム」では初当たりの約75%がRUSHに突入していたが、スマパチ2機種はどちらも直撃は50%程度だ。ただしこの点についても一応のケアはなされている。「CRビッグドリーム」ではRUSH非突入大当たりは「時短ナシ」で「完全ノーチャンス」だった。最近のLT機でもよくある仕様ではあるが、遊技者サイドからすれば「やっと1/399を当てたのに時短ゼロ…」というガッカリ感は大きい。この2機種においてはどちらも、とりあえずは「時短50回」を搭載することで、ノーチャンスのガッカリ感を若干ながら緩和している。この時短引戻しも含めたLT突入率は57%程度だ。
また「初当たり」での出玉が一定個数ある点でも違いがある。「CRビッグドリーム」では600個だったものが、「e蒼天の拳」では750個、そして「e閃乱カグラ」については1,000個に近い「900個」ある点も特徴だ。
合わせて「出玉スピード」についても触れておきたい。コロナ禍の2020年4月に導入された三洋物産製「P大工の源さん 超韋駄天」以降、市場の右打ち中の出玉スピードは大きく変化したのはご承知の通り。当時「CRビッグドリーム」は圧倒的な出玉スピードでもインパクトを与えていたが、当時より進化した変動秒数の面ではもちろん、高確率を見ても、「e閃乱カグラ」についていえば「1/63.5」と当時の「CRビッグドリーム」よりも甘い。この辺りも含め、スマパチLTでの実質MAXタイプは全体にバランスの取れたスペックと言えるだろう。
3.来年以降のLT機トレンド予測
ここまで「実質MAXタイプ」のLT機について分析してみたが、来年以降のトレンドはどうなりそうか。
まずは先行している「スマスロ」市場を考えてみると、「高射幸性スペック」が先頭を引っ張る吸引力を持っていることは間違いない。一方で、この「高射幸性スペック」のシェアが一定割合を超えると、ついていけないファンが増加して厳しくなる傾向も見える。
パチンコにおいても現状「eフィーバーからくりサーカス」が期待感のある初期稼働を見せている点から、一定数の「高射幸性スペック」ファンがいることは確かだ。したがって一定シェアの範囲内では確実に「実質MAXタイプ」のLT機は需要が続くと考えられる。
一方で、この「実質MAXタイプ」についていけない層も確実に存在している。それは甘デジ「P北斗の拳 強敵LT」やライトミドル「P魔法少女まどか☆マギカ3」が現時点でも稼働貢献中であることが証明していると言えるだろう。
また来年は、これらLTに加えて「デカヘソ」仕様も多数発売される見込みだ。解釈基準改正により、この「デカヘソ」とは非常に相性が良いと考えられる「設定別に確変やラウンド割合を変更」する仕様、また一時間に400程度回せる点から「遊タイム搭載」といった仕様も増えそうだ。Bluetoothによるイヤホン接続や、パチスロにおいては「ボーナストリガー」もある。
今年はパチンコ業界において、かなり大きな変化を遂げるだろう苗をたくさん植えた一年となった。いよいよこれらの仕様が来年、具体的に導入されてくることになる。こういった果実が大きく実ってパチンコ市場がさらなる盛り上がりに向かい、ファン数が増加する事を願ってやまない。
■プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。
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