1. 今、企業の“真の力”が問われている
ここ数年、世界的に景況感が悪化し、日本も長期間デフレで低迷を続けてきましたが2024年4月~6月の「実質GDP成長率」は、前期比0.8%(年換算3.1%)と堅調な伸びを示しています。日本社会は緩やかに回復傾向にある中、パチンコ業界は?と考えると、未だに成長の鍵となるトピックスは見当たらず、このままでは近未来に向けても市場はしばらく縮小し続ける、と言われています。
改めて“正しく”業界を取り巻く経営環境を把握した上で、早急に手を打っていく必要があると思います。それは、売上を“上げ続ける”ために、短期・長期で執り行わねばならない投資案件、その原資作りに向けた営業プラン等、場当たり的でなくきちんとマネジメントしながら業績向上につなげていく必要があるからです。例えば業績目標は、前述した日本の実質GDP成長率年3.1%を目安に、稼働・売上・粗利目標を設定し、その数字を実現させるための数々のアプローチ(=入替・最新設備・販促宣伝等)が必要です。
しかし売上を構成する要素は、本来「客数×客単価」ですが、現在は遊技機の射幸性を上げて「単価UP」し、売上を増やす方法の比重が高いため、近未来、ユーザーが離反していくリスクも大きく、極めていびつな利益構成になっていることを自覚する必要がありますし、業績アップの代替案も準備すべきです。今こそ、“真の力”が問われていますし、これから打つ施策は慎重に、丁寧に執り行う必要があると考えます。
2. 地域性や顧客動向を考慮した機種構成を
各遊技機メーカーの開発状況を観察していますが、まだまだ遊技機開発の方針は「射幸性UP」が中心で、今後も大きく変わる可能性は低いと想像します。以前も述べましたが、現在の「遊技の金銭負担の重さ」は社会状況と逆行していて、残念ながら客数は増えるどころか、遊びづらくなる一方です。ホールは「適合した新台」しか設置・営業できませんから、ここは自店の地域性や顧客動向を考慮し、お客様のニーズに合わせた「バランスの良い機種構成」を目指す他ありません。これは理想論ではあるものの、できるだけ「正解に近い」状態までお客様の要望に応える営業を目指すべき、と思います。
3. 現状維持は「成長」にならない
これだけ遊技機の射幸性が上がり、ユーザーの金銭負担が重くなり「パチンコ離れ」「スロット離れ」が進むと、どうしても「客数UP」より「単価UP」に偏った「成長モデル」になるのは、ある意味、致し方ない部分と言えます。しかしながら、ユーザー離反・市場の縮小は不可避なため、ホールは「生きる道」を模索し、その方法論を検討・実施する必要があります。
その具体策こそ、目指す戦略であり店舗コンセプトです。「誰に何を提供するのか」「どんな付加価値を提供して、お店のブランドを上げていくのか」等、どこまで計画的に実行できるか?成果を上げ続けることができるか?に焦点があてられています。
残念ながら、今後市場はしばらく縮小、繁盛店と閑散店の格差はさらに広がり「同じパチンコ店という業態で勝負」することが最も困難になっていくでしょう。そういった近未来像から目を背けず直視し、近未来の「自店のなりたい姿」のストーリーをしっかり考え準備することが大変重要です。このまま「(これだけ景気が悪いから)現状維持が続くのは仕方ない」と考えていたら、成長にはつながりません。 「高い目標は“強い意志”と“企業に考える力”を与えてくれる」と言いますが、どうやって企業成長を実現していくか?に焦点を絞り、まずは目標設定から始めてほしいところです。
4. お店のウリ(=長所)は何ですか?
知り合いの店長にいつも質問することは「お店のウリ(=長所)は何ですか?」と聞くようにしています。この質問に正解はないのですが「ウリがない」という答えについては、是非、一緒に考えて(アピールポイントを)作っていきましょう、と提案しています。やはり、ユーザーであるお客様がパチンコ店に行く「理由作り(=きっかけ)」となるものが伝わらなければ、お店として集客は困難です。また、きっかけ作りに必要な経営資源(人・モノ・金・情報、他)や課題を整理し、施策に落とし込む作業も必要です。是非、今後の計画作りの視点として考えてもらいたいものです。
■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!
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