【コラム】現状分析から戦略的課題へ(WEB版)/チャーリー・ロドリゲス・湯谷

1. 「今、何を目標に仕事をしているのか?」の確認を!
帝国データバンクの資料によると、8年前の2016年、約17兆円あったパチンコ市場規模も2023年には約11兆円まで一気に縮小、というニュースを見つけました。コロナ禍を挟んだ結果とはいえ、日本の電子商取引(EC)市場が6兆円と考えるとそれと同等の額が一気に縮小したことがわかります。また業界の「市場縮小はもう底を打った」という人は非常に少なく、まだまだ中小零細企業から廃業・倒産が続くのでは?という声が圧倒的に多いようです。その理由は簡単で、社会と逆行して業界は遊技機の「射幸アップ」に大きく舵を切っており、その流れは未だ止まることを知りません。金銭的についていけずユーザーの離反が問題、と声を上げても、「やっていること」はメーカーもホールも「単価アップ」策が中心で、今後、さらにマニア化が進むことでしょう。

ここも残念ながら、規制緩和による「過去の成功体験」から市場が大きくなる、という昔のアプローチなのでしょうが、既に時代はDX化が進み、もう誤魔化しの効かない社会になっています。良い・悪い情報を含めて、ユーザーの消費行動を左右する判断材料は一気に蔓延し、本当に人気のある機種・信頼のおけるホールしか残らなくなるのも、間違いありません。

改めて、こういう時代だからこそ、もう一度、会社は?お店は?個人は?今、どこに向かっているのか?目標に向かって、なりたい自分に邁進しているのか?丁寧に確認する必要があるのではないでしょうか。

2. 「利益一辺倒」のお店は、ユーザーから見透かされている!?
厳しい営業状況は、日頃の稼働状況を観察すれば想像できるところですが、少しでも集客に尽力しているお店とそうでないお店は「店内の変化」で明らかに判断できます。機械の入替をして「何もしないお店」も同様で、還元しながら盛り上げていきたい、という雰囲気は伝わってきませんし、逆に、入替と宣伝を上手に組み合わせて、季節感を出しながら遊技空間を活性化している店舗ですと、常に期待感が出てきます。

お客様に少しでも「ウェルカム感」を出すため、日々の業務の中でアイデアを出しながら活性化し、店長やマネージャーはスタッフのモチベーション維持に努める、これが最優先事項ではないでしょうか?どうしても、人気機種や新機種を中心とした宣伝・販促に偏向しがちですが、機種情報や運用方針などについても事前によく調べて来店するお客様も増えています。いかに遊技を通じて「機種やゲーム性の楽しさを提供できるか?」「長い時間、遊技してもらえるか?」の視点に立ち返り、その運用方法を再考してもらいたいものです。

3. このままではギャンブル業の市場成長はない! No.1から究極のオンリーワンへ!
人口減少・超高齢化社会・長引く景況感の悪化と、日本全体、時代は産業の大きな転換点に向かっています。個人的見解ですが、このまま「顧客の創造・客数増」をあきらめ、「単価アップ・マニア化」に向かえば市場規模はさらに減少、今後大きな市場成長が見込めないのは確実だ、と思っています。

「パチンコ業界は、もう成長しない市場」ということを前提に未来を考えると、今後は徹底的にターゲットを絞って、究極の「オンリーワン・パチンコ店」を作るべき、と考えます。もちろん、たくさんの壁があって一朝一夕でできる話ではありませんが、従来のようなビジネスモデルを捨て「ダウンサイジング」「スモールビジネス」化により、高収益化を狙う、というイメージです。近未来は、従来のように「店舗の大型化・人気機種の大量導入」といったモデルが厳しくなると想像します。維持費や固定費の高騰もあって、収益効率は落ちると思うからです。条件もコストも時間もかかる、戦略的課題だと思いますが、一度検討してもらいたい部分です。

4. 「甘い」現状分析は、もういらない!徹底的に!
可能であれば、第三者機関に評価を受けてもらいたいものですが、是非、未来を考えるためにも緻密な現状分析を行い、いち早く問題・経営課題を整理してみてはいかがでしょうか。この先、パチンコ業界全体の市場規模が大きくなる可能性はほぼなく、すぐにでも「オンリーワン店舗」を目指すべくコンセプトを再構築する必要があると思います。そのためにも、現状、どんな問題・課題があるのか?を丁寧に整理し、アクションを起こしてもらいたいものです。時代は大きく動いていますから。

■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!

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