1. 業況が中々上がらない、パチンコ市場
全日遊連加盟店の集計結果で、昨年、2023年度のパチンコ店廃業数は684店舗であった、という記事を目にしました。コロナ渦以降、業界のトレンドは大きく変わり、毎月のように閉店・休業店舗が出てきています。これはユーザーの「消費行動」が大きく変容していることはもちろん、業界の取り組みや方向性が「社会と合っていない」と言えます。その背景には様々な問題が内在していますが、仮にこのまま毎年5%でも店舗減少が続けば、5年後には5,000店舗を割り、10年後には3,800店舗程度という数字になります。この数字に強烈な危機感を持つ経営者がいる一方、市場縮小の中でも「地域1番店」のポジションをキープすれば、さらに大きく成長できると、チャンスと考える法人もあります。どちらも、その考え方や手の打ち方は全く異なりますし、最終的に「どのような目標を掲げて営業に取り組むか?」が重要になります。
2. 「あと数%」の、数字の大切さ
今年7月3日より新紙幣へと切り替わる予定ですが、その改刷問題への対応は急務です。特に設備投資にかかる資金調達は深刻で、内部留保・金融機関からの融資・営業での調達と方法は多数ありますが、金融機関の融資条件は厳格化され、また営業面でもずっと「利益重視」ではお店のブランドイメージも毀損しますので、大きなキャッシュフローの改善にはつながりません。なので、基本的には内部留保での対応となるわけですが、今年は心理的にもホールの投資意欲は一時的でも大きく減退することでしょう。
逆にこのタイミングでも新台入替や出玉還元に舵を切る繁盛店は「ここがチャンス」とばかりに投資を厚くし、集客を実現、結果としてもう追い抜くことができない程に、圧倒的シェアを固めると思います。こういったシナリオは誰もが予測していることですが、問題なのは「わかっていても、何も手を打たない」という点です。もしも「打つ手がわからない、有効な手段が思いつかない」ということであれば、前述した通り、今一度、現状分析を「丁寧に・正確に」行って問題を整理して欲しいと思います。
営業も厳しい局面が続きます。ですが前述した通り「仮に5%ずつ」の減少でも、それが「10年」続けば大きな数字になりますし、パチンコやスロットも同じで、前年同月比の稼働下落が止まらない…これが数年続くだけでも営業は厳しくなります。しかし、逆に「5%ずつ毎年増加」となれば、これも「プラス」で数字は大きく、もしも10,000稼働の5%、500玉の打ち込み上昇でも、これが実現できれば、大きな成果と言えるわけです。たかが数%と思わず、とことん「前年同月比」「前月比」にこだわって、営業の手を緩めないで運営して欲しいと思います。
3. GWまでに取り組むべき課題
直近で、最も長い休暇時期はGWで、かつ、上手に有休等を取れば「10連休」となる、良いカレンダーになっています。既にGWまでにどんな機種を揃えて、どんな営業戦略で運営していくか? と戦略を立案しているホールもあり、既に競争は始まっている、という印象です。
一つ目の課題は「人気設置機種をどこまで取り揃えることができるか?」です。パチンコ・スロットともに、人気機種となればなるほど十分に機種を揃えることができないお店も多く、お店の「イメージ」を悪くするケースがあるほどです。先行情報や、数ヶ月先のユーザー動向を予測しながらマーケットに合わせた「機種選定」に努めて欲しいと思います。
二つ目の課題は、広告宣伝です。ターゲットに合わせた広告宣伝手法を十分に使い、お客様の共感を得ることが最大の目的です。さらに規制が厳しくなる気配ですが、この点も十分に予算を組んで取り組んで欲しい部分です。
最後に三つ目の課題は、「組織力アップ」です。ただ新機種を入れ替えて、正しい運用さえ行えば集客が実現する、ということはありません。お客様の行動変化に合わせて柔軟に手を打つことができるか?がポイントです。他店よりも「自店の方が遊びやすく楽しい」と感じてもらうためには、常にアイデアを出し、空間を活性化させていくことが必要になりますし、スタッフのモチベーションの高さは繁盛店の条件でもあります。
まだまだ課題は多くあると思いますが、丁寧に、正確に対処し、この難局を乗り切って欲しいと思います。
■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!
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