人間とは狡いし弱い生き物なので、うまくいかないことはすぐ誰か何かのせいにしたがるものです。斜陽産業と言われて久しい我がパチンコ業界でも、儲からない出せない勝てないの捌け口なのか、あるいはうまいことやれてる一部に対するやっかみなのか、プレイヤーも含めた全レイヤーで他責化思考と悪口が蔓延しています。
メーカーが悪い、ホールがクソ、プロ軍団は死ね、媒体も演者も消えろ云々。各職域においても、同じ組織に属していても、とにかく自身と異なるレイヤーを徹底的に叩こうとする風潮にげんなりするばかりです。警察だ岸田だロシアだみたいな天上マクロすぎる理由も確かに影響甚大でしょうが、「業界にとって」の視点で騒いでどうにかなるものでもなし、逆にあそこの晒し屋の公約がどうのと重箱の隅を突いても何ら解決に寄与するものではありませんよね。
いや他責化や妬み嫉みだけじゃないですね。マウンティングや足の引っ張り合いもこれに加わるのです。SNSを使いこなしてうまく集客してるなーってお店さんが、他法人や客を攻撃して炎上する。稼いでいるパチプロが勝てない客をバカにする。演者が裏垢でファンをこき下ろす。いやいや何なの? 承認欲求なの? 炎上商法? こんな中でも儲かってるなら立派なもんじゃないですか。なら他者ほっといて粛々とやればいいだけでしょうよ。
ストレスが溜まるのはわかるし、吐き出したいのもドヤりたい気持ちも重々共感できます。しかし、それがSNSを通じてあらゆる方面、業界外にもすぐさま共有されてしまう時代ですから、ひとつひとつは小さな愚痴に過ぎないとしても、全体となれば「あーパチンコ終わってんな」の強固な裏付けとして作用する。実情はさておいても、見え方が悪すぎませんか? 本体の死期を加速させているのは自覚なき個の振る舞いであり、業界ステークホルダーの総癌細胞化ではないのかと思ってしまいます。
と、偉そうな鳥瞰目線の物言いにイラッとされた方も多かろうと思いますが、僕には綺麗事を並べ立てて余裕こいてる暇などありはしません。僕はどこにも属さず自己責任で行動しないとメシが食えない完全なるフリーランス。企画も営業もブランディングも、ケンカ売る先、媚び諂う先を決めるのも結果責任を追うのも、すべてが僕自身です。誰かのせいにすることなどできない立場で必死に仕事をしていますから、文句を言う先があるだけ幸せじゃないか、グチグチ誰かのせいにしても給料もらえてるやん、そう思ってしまいます。
もちろん、あれこれグッと飲み込んで、実直に汗をかかれている業界人の方がはるかに多いことも承知しています。しかしそういう真っ当な人すら巻き込んでしまう使えないノイジーマイノリティ、負の発信ほど拡散してしまう風潮。そんな中で、ただでさえ誤解と偏見と低民度が跋扈するこの産業を前向きに立て直さなくてはならない……。あぁ、視野を広く持つほどに無力感が先に立ってしまいますね。インターネットがパチンコを殺したんだ! と、僕自身が他責化極まりない物言いをしたくなってしまう時代なのです。
とはいえ、それじゃ死んでしまう身の上としては、仕事をくださる取引先に貢献できるようできる限り努力しますし、来てくれたお客さんが楽しんでもらえるよう業者様やホール様と相談して準備をする。これからも使ってもらえるよう、自身の価値を上げるよう勉強するし、むしろ利他的に行動する。バカな勘違いや偏見には、解いていくよう言うべきは言う。自分自身がひとつずつ課題に向き合って、小さくても結果を積み上げていくしかないんですね。凡人の僕には、それしかできないんですよ。
でも、それこそが個々人と業界全体のベクトルを揃える行動だと信じてやっているわけです。誰かのせいにしたところで、道連れで死んでしまうのは自分自身です。そんなバカはみんな今すぐ止めなきゃならない。他者のせいにしても逃げでしかありません。なら業界から足を洗えと思います。癌細胞になるなよ、潰していきましょうよ。
大﨑一万発
パチプロ→『パチンコ必勝ガイド』編集長を経て、現在はフリーのパチンコライター。多数のパチンコメディアに携わるほか、パチンコ関連のアドバイザー、プランナーとしても活動中。
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