全日遊連全国理事会で警察庁松下保安課長が講話

全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連、阿部恭久理事長)が1月19日に開催した全国理事会において、警察庁の松下和彦保安課長が行政講話を行い、ぱちんこ営業の健全化について、「広告・宣伝」「ぱちんこへののめり込み・依存防止対策」「ぱちんこ営業に絡む違法な事犯」を挙げ、見解を述べた。

–講話全文–

全日本遊技事業協同組合連合会全国理事会における課長講話

ただいま御紹介にあずかりました警察庁保安課長の松下です。

皆様方には、平素から、警察行政の各般にわたり、また、政府の各種施策に対し、深い御理解と御協力を賜っており、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

はじめに、本年1月1日に発生した能登半島地震は、各地に甚大な被害をもたらし、多くの方が被災されました。お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された方に心よりお見舞い申し上げます。ぱちんこ業界におかれましても、大きな被害を被った営業所があったものと承知しています。そのような状況において、発災当初よりホール駐車場を避難場所として開放されたり、防災備蓄を配布されたホールがあったと伺っており、こうした活動に対しまして、敬意を表します。

さて、本日は折角の機会ですので、営業の健全化に関連して、何点かお話させていただきます。

まず、広告・宣伝についてです。

広告・宣伝の健全化を図るため、昨年、業界において、ガイドラインを策定するとともに、随時補足文書やQ&Aを発出するなどの取組が進められました。非常に意義のある取組であると考えています。

一方、ガイドラインに違反するとして業界団体が是正勧告をした事例を見ると、あえてガイドラインをすり抜けようとしているものがあるほか、最近では、第三者の立場を装ってSNSで遊技機の設定状況を示唆するといった広告・宣伝が問題となっています。

引き続き、不適切な広告・宣伝が広がることのないよう、ガイドラインの趣旨を全ての営業者に浸透させるとともに、必要に応じてガイドライン等を改訂し、その内容を充実させるなどの取組を進めていただくようお願いいたします。

かつて、著しく射幸心をそそるおそれがあるような広告・宣伝が横行し、行政として厳しい対応をとらざるを得なかったことを踏まえると、広告・宣伝に関する現在の業界の取組は、業界の自主的な取組が営業の健全化のために機能することを示す象徴的な例になり得ると考えています。是非この取組を継続し、効果を上げることを期待しています。

次に、ぱちんこへののめり込み・依存防止対策についてです。

業界では、ギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づいた各種取組を着実に進められています。

まず、自己申告・家族申告プログラムについては、貴連合会から未導入ホールへの働き掛けを精力的に行っていただいていますが、なかなか導入が進まない都道府県もあります。まずは全てのホールにプログラムが導入されるよう取組を継続するとともに、このプログラムが活用され、機能するよう、利用者の利便性の向上や負担軽減に向けた取組を進めるようお願いいたします。

また、基本計画にも記載されているとおり、のめり込み・依存防止対策を進める上では、各地域において、精神保健福祉センター、医療機関等と連携・協力することが重要になります。貴連合会では、既に多数の都道府県で依存症対策の協議会に参画し、関係機関と連携した取組を進めており、こうした取組がより一層進むことを期待しています。

現行の基本計画については、来年度でその対象期間が終わるため、今後、計画の改定に向けた作業が進められるものと思いますが、のめり込み・依存防止対策については、その重要性に鑑み、今後ますますその取組の推進が、実効性の点も含めて、求められてくるものと思います。のめり込み・依存防止対策が機能し、のめり込み・依存に悩む人を可能な限り少なくすることは、ぱちんこ営業の健全化において最も重要な要素の一つと考えています。是非、現在の取組を継続し、深化させていただくようお願いいたします。

次に、ぱちんこ営業に絡む違法な事犯についてです。

依然として、遊技機の不正改造や賞品買取について検挙事例があります。これらの事犯は、型式試験による射幸性の適正管理を侵害する事犯であり、また、賭博との一線を画す上で根幹となる規制に違反する事犯であることから、こうした違法行為が発生しないよう、引き続き、業界としての取組を継続していただくようお願いいたします。

この点、遊技産業健全化推進機構では、立入検査や警察への通報の活動を進めており、警察として引き続きその活動を支援していきたいと考えています。業界においても、機構の活動に対する協力・支援をお願いいたします。

業界においては、冒頭に申し上げた震災時の活動のほか、地方自治体や地域社会と連携して、社会福祉・防犯・復興支援など、多様な社会貢献活動をしていただいています。こうした活動は、各地域に営業所を持つ業界だからこそできる取組であると考えています。引き続き、こうした取組を進め、業界に対する世間のイメージを上げていただくことを期待しています。

業界においては、遊技人口の減少及びそれに伴う売上げの減少が続く中、2024年問題、新紙幣への改刷といった新たな課題にも直面しています。警察としては、先ほど申し上げたような営業の健全化に向けた取組が少しでも前に進むよう支援しながら、引き続き、業界の御意見や御要望に真摯に耳を傾けつつ、必要な対応を考えてまいります。

結びに、貴連合会の益々の御発展と皆様方の御健勝、御多幸を祈念いたしまして、私の話を終わります。御清聴ありがとうございました。

Copyright © 2024 『遊技日本』 All Rights Reserved.