1. 社会の人口構造が大きく変わる!?
今年、2024年度の景況感は、引き続き世界的な物価高に見舞われることが予想され、日本も国策による「インフレ」状況がさらに加速していくのではないでしょうか? 同時に、大企業を中心に賃上げが進むことも予想できますが、一方で、未だ経営環境が改善されない約92%以上の中小企業に雇用される労働者の賃上げスピードも、すぐに改善の方向に向かうとは考えにくく、今後数年、景気低迷を覚悟する必要があると思います。
また、日本の人口は65歳以上の高齢者が約28.4%と「3人に1人は高齢者」というラインに近づいており、今後の景気に大きく左右する年代になっています。年金問題等を背景に、高齢者の仕事への「社会参加」は恐らく加速するでしょうし、余暇産業であるパチンコ業界も無視できない存在というのは、言うまでもありません。
しかし、前回も述べましたが、足元の業界の取り組みは、残念ながら遊技機の射幸を上げて「客数」でなく「客単価」を上げ、売上を伸ばす方法に躍起になっている状態。このまま「パチンコ・スロットのギャンブル化」がさらに進めば、ついていけないユーザーも続出し、超高齢化社会も相まってもっと市場が縮小していくのは明白です。
超高齢化問題を始めとした今後の社会問題は回避することはできず、特に内需中心の全ての業種・業態に共通していて、新しい「付加価値」を生み出していかねば、事業の存続が厳しくなる、そこまでの大きな転換期に差し掛かっている、と言えそうです。
2. 「高齢者向けの余暇産業」の創出を!
前述の通り、日本は今後、現役を引退し「第2の人生」を歩みだす人達が一気に増え、人口で見れば、社会や消費の中心になります。そういった世代の人達の生活・消費パターン等を考えた上、今「パチンコ・スロットを通じて」新しい余暇の過ごし方を提供していくミッションがあると個人的には考えます。
そこには、パチンコ店に「足を運びたくなる」だけの魅力を作り、金銭消費のストレスではなく、時間消費の「楽しさの提供」に努める必要があるはずです。その一つの答えが「低貸業態」でしたが、お店の運用面による問題から、既に「回らない・遊べない」「想像以上にお金がかかる」等の問題点も出ているようで、ビジネスとの「折り合いがつかない」状態です。
ビジネスにしていくには、お店の「固定費削減」はもちろん、多くの「積極的な集客策」が必要になるわけですが、同時にリスクをかけても入替・設備への「投資」も継続していく必要がある、と考えます。「低貸業態は収益性が悪い」という背景から、ほとんど「何もしない」というお店も多く、それでは「何度も足を運びたくなる」お店にはならないでしょう。
4円パチンコ・20円スロットと同様に、中・長期の戦略を立てて、計画を丁寧に進めていく必要があるのではないでしょうか?
3. ホールも、個人も、社会も…「優勝劣敗」がもっとハッキリしてくる!
ホールの実力、集客力の強さを測るポイントの一つが、通常時期と「GW時期」「お盆期間中」「年末年始時期」との稼働比較が挙げられます。「(通常時とは)稼働はほとんど変わらない」場合は既に危険水域で、客数が増えない限り「単価アップ」で業績を伸ばす他、手がありません。「単価アップ」は遊技機の性能やギャンブルの度合いにもよりますが、ユーザーの「懐具合」の問題も大きく影響するので、競合店よりも薄利で営業、しかも客数が増えるまで「ずっと続けていく」必要が出てきます。 結局、この「単価アップ」のために新台入替等の投資を行っていけば「資金力のある企業」にはかなわず、半強制的に「ターゲットの変更=新業態への転換」を迫られるわけです。
ここには企業の戦略・マーケティング力・組織力が業績に大きく影響するわけですが、自店の課題に優先順位をつけ、課題解決に向けて早急にアクションをおこしてもらいたいところです。
4. 厳しくも、お客様の支持があれば問題なし!
業界を取り巻く経営環境は、極めて厳しく、明るい材料はほとんどない、と言って良いでしょう。この現実を踏まえた上で「では、どうするか?」ということになりますが、地味ですが、改めて「お客様のために、どんな価値を提供してビジネスするのか?」という原点に回帰し、お客様の信用・信頼のさらなる回復に努めて欲しいと思います。ウルトラCの策はありませんが「お客様の支持」さえあれば、問題はありません。この1点に力を集中し、業務を遂行して欲しいと思います。
■プロフィール
チャーリー・ロドリゲス・湯谷
自称パチンコ・パチスロ伝道師。この立ち位置を20年近く続けているロートル業界ウォッチャー。特技はスプーン投げ。今ではスプーンも曲げられない程、筋力低下。「意見待つ!」と言い続けて、20年。他人の意見に未だ弱く、老化は続くか、パチンコやパチスロに賭ける情熱は衰えず!
Copyright © 2024 『遊技日本』 All Rights Reserved.