【コラム】ぱちんこ演出バグとデバッグ(後編)

ぱちんこ開発者の独り言69
本稿では昨今、インターネット上でも話題に上ることの多い「ぱちんこ機の演出バグ」をテーマに前編、後編と2回に分けて執筆している。前回のコラム(前編)では、バグは本来、遊技機メーカーが未然にデバッグにて防がなければならないが、演出の複雑化や演出ボリュームの増加により、デバッグで見つけきれない現状でもあると書かせて頂いた。今回のコラム(後編)では、遊技機開発におけるデバッグの詳細について言及したいと思う。

→前編はコチラ

メイン、サブ、液晶のそれぞれのプログラムを組み合わせて構成するぱちんこ台のデバッグは、デバッグ専用のプログラムを組んで検証を行うことも増えたが、遊技機のプログラムはそれぞれ遊技機の単一機種独自でプログラムを組むことが多いので、包括的なデバッグプログラムを組むことが非常に難しい。

そのため、単一動作やある特定のバグを見つける専用のプログラムにて検証をすることが多い。特に盤面役物や駆動体などのハード系は、ソフトプログラムと組み合わせて作動するため、同じ動作を数十万回から数百万回繰り返し検証を行う。

一方、ソフトプログラムで網羅できない箇所及び包括的なデバッグは、人海戦術にてデバッグを行う。ピーク時には、1日24時間(交代制)にて10数名以上にてデバッグを行うとこも珍しくない。

デバッグ作業は、演出が一通り実装され遊技ができる状態で行われ始める。遊技機開発において遊技ができる状態は、進行状況を10段階でいえば8か9まで到達している状態である。そこまで進行して初めて遊技可能な状態であるため、デバッグと並行して演出バランス調整などの演出のブラッシュアップも合わせて行われる。仕様通り制作できたかの確認を行うのがデバッグであるのだが、仕様通りにも関わらず面白くない場合や思った通りの仕上がりにならなかった場合、仕様変更が行われることも多い。

このように、開発期間中、常にデバッグを必要とするわけではないが、一通り実装された後、一気にデバッグを行うため、ある特定の期間のみ多くの人が必要になる。そのため、各メーカーはデバッグ専用の人材を数多く抱えることはせずに、必要な時期に差し掛かるとデバッグ専門会社に発注することで費用を抑えようとしているが、ピーク時には10数名以上の体制にて24時間デバッグを続けるため、その人的コスト負担は多い。

昨今は実装演出も数年前よりも増加しているため、単純計算、演出確認数が多くなり、検証期間も長くなる。その結果デバッグコストは右肩上がりに増え続けているのが現状である。

逆に、デバッグ会社には多くの遊技機デバッグ需要があるため、ぱちんこパチスロに特化した部署を持つ会社や、遊技機を専門的に請け負う会社もあるのだが、昨今の人材不足や遊技機の開発機種数及び演出ボリュームの増加により、質の高いデバッグを行うにも苦労している。また、検証期間は長くなっているが、主に目視でデバッグを行っているため見逃しが多くなりがちな結果、今日のような状況になっているのが現状である。

遊技機は保通協の適合を受けた後、各都道府県警の公安委員会の承認を受けたものでないとホールに設置できない。そのため、ゲームの様に修正パッチができないというのが真の問題であるともいえる。

→前編はコチラ

■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

Copyright © 2019 『遊技日本』 All Rights Reserved.

関連記事
保通協5月の適合状況が判明
海JAPAN2、保通協の型式試験27回目で適合した台らしい・・・
保通協試験12月、申請数の減少で適合率も低調
コンサル業界の王・並ばせ屋山本さんが保通協の闇を暴露「不適合データが出るまで回された記録が出てきた」
保通協型式試験パチスロの不適合事項「主基板ケースが痕跡を残さずに開封する事が可能な構造であった」←これって・・・
保通協 12月の型式試験状況
Re:ゼロから始める異世界生活が一気に突き抜けた|д゚)
11月の保通協型式試験状況が開示される!パチスロ6号機は20機種適合
2019年6月のパチスロ型式試験適合率、1.7%減の22.4%
保通協 10月の型式試験状況
コンサル業界の王・並ばせ屋山本さんが保通協の闇を暴露「コンサル業界の王・並ばせ屋山本さんが保通協の闇を暴露「不適合データが出るまで回された記録が出てきた」
【朗報】コナミ「まこまこ2が保通協通ったぞ!」うおおおおおおおおおおお【GI優駿倶楽部2】
パチスロ6号機、適合9型式のみと低迷、適合率12.9%
パチスロ6号機、14型式が適合/12月の型式試験状況
保通協試験12月、申請数の減少で適合率も低調 – パチンコ業界ニュース | パチンコ業界 最新ニュースサイト パチンコ・パチスロ情報島 – パチンコ・パチスロ情報島
パチスロ6号機「適合率」低迷も復活の兆し? 「今年後半から良くなる」希望が見え始める今後の展望【業界・最新情報】|GJ – Business Journal
バジリスク絆2は純増3枚程度で、バジキッズにも支持される完成度との噂
保通協、トンデモナイ工作をしていた?!
回胴遊商・大饗理事長、パチスロ市場の事態打開を力強く語る
令和元年5月の保通協適合状況「P56.7% S24.0%」と微増!なんか不正の匂いがする不適合事由も…